2021年6月13日、G7サミットが閉幕した。対中問題、パンデミックの問題、台湾海峡の問題なども語られたようだ。中国の脅威に対する西側の焦りのようなものが感じられたサミットだった。一連のTV報道の映像を見ていて、一瞬映った開催場所であるイギリス・コーンウォール州のエデンドームが目に止まった。バックミンスター・フラー博士のジオデジッック構造を元に作られた美しいドームだ。正20面体モデルをを六角形、五角形、三角形に分割した多面体で作られている。フラー博士のジオデシック構造を用いたドームには、今はなき富士山山頂にあった富士山レーダーのドーム、火事で焼けてしまい今は骨組みだけが残っているモントリオール万博カナダ館、ヒマラヤのベースキャンプなどで活躍するザ・ノース・フェイスの2mドームなどを思い起こす。どれも、僕が大好きな美しい形状だ。軽量かつ、風に強く、最大の空間を得るための設計である。
フラー博士の実現しなかった構想には、クラウドナインと呼ばれる、空に浮かぶ都市や海に浮かぶトリトンシティなど、イマジネーションを掻き立てる構想がいくつもあった。エデンプロジェクトは大きなドームの中に生態系(バイオスフィア)を作ってしまうという構想だ。この構想はコーンウォールよりも先に、1992年米国アリゾナ州の砂漠で”Spaceship Earth2″というプロジェクト名で実際に行われた。昨年、映画化されたが残念ながら日本では未公開である。(Trailerはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=mGvYFB6GHRY)SpaceshipEarthのコピーを作ろうという試みであったが見事に(?)失敗に終わってしまった。これから人類が火星に移住したらとか、核戦争で地球が死の海になってしまったらとか、気候変動などで地球に住むことが出来なくなった時、人類はこのようにして自ら環境を作り、種をつないでいくのだろうか。
英コーンウォールのエデンドームは、平和で美しい植物園だ。人工的な生存環境を造らずとも、人類は、このSpaceship Earth1すなわち地球を動的平衡を保ちながら大切に保つことを最優先に考えるべきだ。G7サミット2021がコーンウォールで行われた意味は、そういうことなんじゃないの?と思いながら、誰も言及していないので、書いてみた。