INSIGHT & OUTSIGHT

日本人にとって春の空気、匂い、温度、日差しというものは特別に五感を刺激する。

春とひとことで言っても3月の感覚と4月の感覚はまた異なる。卒業と入学、別れと出会い、始まりと終わり、そんな境目が3月31日に区切られる。私は、幼稚園入園以来ずっとこの区切りを経験してきた。区切りがあって、気持ちがリセットされ、新たな気持ちになれる、一年を振り返る、この先の計画を考える、そんな機会をこの4月と3月の境は与えてくれた。今年2021年の3月31日は、そんな区切りの中でも私にとってさらに特別な意味をもっている。

39年間勤務した株式会社ゴールドウインを卒業し、自分一人の小さな会社を始めることにした。サラリーマンから、ワンマン社長への転職だ。コンサルティングを主たる事業で行うが、商品企画や販売、教育サービスなども定款には盛り込み、事業アイディアをすぐに実行に移せるようにした。

一人でやるのに、わざわざ会社組織にした理由は3つ。一つ目は、会社にすることで、個人よりもより社会に対しての関わりが生まれ、コミットメントも強くなるということ。もちろん個人でも、社会との関わりもあればコミットメントもあるけれど、よりオフィシャルな関わりが意識できるということ。二つ目は、会社を主語にすることで、理念的なことも発信しやすくなる気がする。個人ではなかなか気後れして発信しにくいような理想論も会社という人格を通して明言できる。個人の性格にもよるが、私の場合はそのように感じる。三つ目は、前述したように、事業アイディアを実行に移しやすいこと。

これらの理由により、個人事業主ではなく株式会社にすることにした。ずっとワンマン社長なのか、少しは成長するのか、正直わからない。この歳で、会社をつくるからには、多少なりとも社会の役に立ちたいと思うし、そのためには成長する必要がある。出来れば、ちゃんと継続的に利益を生み、税金を払って、だれかにバトンタッチして後に続く会社にしたいものだ。

これからの時代は、高齢化社会になることは分かっているが、体力面は別にして、経験と知力で、高齢者も社会のフロントラインから引退するのではなく、牽引する立場にならなければならないと思う。偉そうな事は言えないが、そのような会社を目指したい。

青くて美しい地球を永続させるための、企業活動を支援できるようなコンサルティングや事業ができる会社として、この会社を起こし、続けられるように前に進みたい。このような事を考える、特別な春の節目の日だ。